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フレイセクシャルとは?デミセクシャルとの違い

関係が深まると恋人に性的魅力を感じなくなるのは、あなたが冷めたのではなく、フレイセクシャルという性的指向かもしれません。デミセクシャルとの違い、倦怠期やセックスレスとの見分け方、男性が気づきにくい理由を、当事者の声と判断チャート・比較表で解説します。

Pace編集部
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付き合う前はあれほど惹かれていたのに、親しくなるほど相手に性的な魅力を感じなくなる——そのたびに、あなたは「自分は飽きっぽい」「冷たい男だ」「相手に悪い」と自分を責めてきたのではないでしょうか。関係が深まると気持ちが冷める、と何度も言われてきたかもしれません。ですが、飽き性・淡白・ダメな彼氏という言葉は、まわりやあなた自身が外から貼ったラベルにすぎない可能性があります。

親密になるほど性的に惹かれなくなるその感覚には、フレイセクシャルという名前がついています。定義・デミセクシャルとの違い・倦怠期やセックスレスとの見分け方、そして男性が自分の指向に気づきにくい理由まで、順を追って整理します。

親密になるほど性的魅力を感じなくなる感覚とフレイセクシャルの解説

フレイセクシャルとは

フレイセクシャルとは、関係の浅い相手には性的に惹かれるものの、関係が深まるにつれて性的な魅力を感じなくなる性的指向です。アセクシュアル・スペクトラム(性的に惹かれにくい指向のグラデーション)に含まれます。

「フレイ(fray)」は英語で「よく知らない人・すり切れる」といった意味を持ちます。初対面や赤の他人、SNS上の未面識の相手には性的に惹かれるのに、信頼関係を築くほどその感覚が薄れていく——それがフレイセクシャルの中心的な特徴です。

理解の助けになるのが、性的な惹かれを2段階で捉える考え方です。見た目や第一印象で生じる惹かれを「第一次性的魅力」、相手を深く知り信頼を築いてから生じる惹かれを「第二次性的魅力」と呼びます。フレイセクシャルは、第一次性的魅力は感じるものの、第二次性的魅力が育ちにくい指向だと説明できます。

大切なのは、性的に惹かれなくなることと、相手を嫌いになることは別だという点です。パートナーへの恋愛感情や情愛は残ったまま、性的な魅力だけが薄れていくのがフレイセクシャルです。恋愛的な惹かれと性的な惹かれを分けて捉える視点は、アセクシュアル・スペクトラムとはでも詳しく整理しています。

フレイセクシャルと倦怠期・セックスレスの見分け方【判断チャート】

「親しくなると性的魅力を感じなくなる」という悩みは、フレイセクシャルとは限りません。倦怠期や関係の課題であることもあります。まず下のチャートで、自分がどの方向に近いか見当をつけてください。

親しくなると性的に惹かれなくなるのはなぜ?相手に性的魅力を感じなくなる特定の相手・時期だけ薄れる環境や関係が変われば戻る→ 倦怠期・関係の課題誰と付き合っても親密になると消える浅い関係の相手には惹かれる→ フレイセクシャル傾向そもそも誰にもほとんど惹かれない浅い相手にも生じにくい→ アセク・ノンセク寄り※複数が重なることもあります。無理にひとつへ絞る必要はありません。
「親しくなると性的に惹かれなくなる」背景を見分ける判断チャート(複数該当もあり得ます)

左の「特定の相手・時期だけ薄れる」に近いなら、それは倦怠期や関係の課題で、環境が変われば戻ることもあります。真ん中の「誰と付き合っても、親密になると必ず消える」に近いなら、フレイセクシャルの視点で自分を見直す価値があります。右のように浅い相手にも性的に惹かれにくいなら、恋愛感情はあるけど性欲がない状態についてもあわせて読んでください。

フレイセクシャル・デミセクシャル・アセクシャルの違い【徹底比較】

似た言葉が多いため、性的に惹かれにくい指向を比較表で整理します。フレイセクシャルの位置がはっきりします。

指向性的に惹かれる相手関係が深まると恋愛感情
フレイセクシャル関係の浅い相手惹かれが薄れるある(残る)
デミセクシャル深い絆を築いた相手のみ惹かれが生まれる人による
アセクシャルほとんど惹かれないほぼ変わらない人による
ノンセクシャルほとんど惹かれないほぼ変わらないある

フレイセクシャルとデミセクシャルは、関係の深まりに対して正反対の動きをします。デミセクシャルは絆を築いてから性的に惹かれ、フレイセクシャルは絆を築くほど惹かれなくなります。どちらもアセクシュアル・スペクトラムの一部で、優劣はありません。デミセクシャルに近い感覚はデミセクシャルとは、恋愛感情はあるが性的に惹かれにくい感覚はノンセクシャルとはで詳しく解説しています。惹かれが薄れるのが「関係の深まり」ではなく「相手から性的に返されること」がきっかけなら、リスセクシュアルとはのほうが近い感覚です。

フレイセクシャルと他のアセクシュアルスペクトラムの指向の比較の解説

フレイロマンティックとの違い|性的な惹かれと恋愛的な惹かれは別

フレイセクシャルとよく混同されるのが、フレイロマンティックです。フレイセクシャルは性的な惹かれ、フレイロマンティックは恋愛的な惹かれが、親密になるほど薄れる指向です。軸が違います。

たとえば恋愛的な惹かれが薄れていくフレイロマンティックについて、当事者はこう書いています。

「『私フレイロマンティックだな』と思うエピソードとして、好きな人に対してあまり深入りしないということがある。」

出典: 関係が深くなると恋愛感情を抱かなくなる【フレイロマンティック】(note)

この人のように、深入りすると気持ちが薄れる感覚は、恋愛面(フレイロマンティック)でも性愛面(フレイセクシャル)でも起こります。どちらか一方だけの人も、両方を併せ持つ人もいます。自分の場合はどちらの惹かれが薄れているのかを分けて見ると、自己理解が進みます。恋愛的な惹かれ方のグラデーションはデミロマンティックとはでも整理しています。

なぜ男性はフレイセクシャルに気づきにくいのか

親密になるほど性的に惹かれなくなる男性は、自分の指向に気づくまでに時間がかかりがちです。理由は3つあります。

  • 「男は好きな相手にずっと性的欲求を持つはず」という社会的前提: この前提に照らすと、親しくなって惹かれなくなる自分が「愛情が足りない」「飽き性」に見え、正直に自分を見るのが難しくなります。前提そのものが多様な性のあり方を無視しています。
  • 「淡白」「飽きっぽい」という便利な他称: これらの言葉に収まっている間は、感覚を深掘りする必要がなく、本当の指向への気づきが先送りになります。
  • 自認するための言葉を知らない: フレイセクシャルという言葉を知らなければ、自分の感覚を照らし合わせるものがありません。

3つ目がとくに大きな壁です。電通グループが2023年に約6,240人を対象に実施した調査では、アセクシャルに該当する人は1.56%と報告されています(電通LGBTQ+調査2023)。フレイセクシャルはさらに細かなスペクトラム上の一点ですが、性的に惹かれにくい感覚を持つ人は確かに存在します。この誤認の構造は自分のセクシャリティがわからない男性へアセクシャル男性の特徴と自認方法でも掘り下げています。

自分がフレイセクシャルかも?セルフチェック

以下の項目を確認してみてください。全てが当てはまらなくても問題ありません。

  • 付き合う前や関係の浅いうちは、相手に性的に惹かれることが多い
  • 親しくなり信頼が深まるほど、その相手への性的な魅力が薄れていく
  • 性的魅力が薄れても、相手への好意や愛情そのものは残っている
  • 「付き合うと冷める」「飽きっぽい」と自分を評価してきた
  • 相手を変えても、親密になると同じように惹かれなくなるパターンがある
  • 初対面や未面識の相手には性的に惹かれることがある

複数当てはまるなら、フレイセクシャルの傾向がある可能性があります。ただしこれはあくまで目安です。セクシャリティは自分自身が感じるものであり、チェックの数で決まるものではありません。似た感覚は性に淡白な人の恋愛についてでも整理しています。

パートナーへどう伝えるか【NG例・OK例】

フレイセクシャルは、パートナーを傷つけないか不安になりやすい指向です。性的な魅力が薄れることを「あなたが嫌いになった」と誤解されるのを恐れて、言い出せない人もいます。大切なのは、恋愛感情は残っていることをセットで伝えることです。

  • NG例:「最近あまりその気になれなくて……」→ 理由が伝わらず、相手は「自分に魅力がないのか」と受け取りがちです。
  • OK例:「親しくなるほど性的に惹かれにくくなる体質みたいなんだ。君のことは今も大好きだよ」→ 指向であること、好意は変わらないことが同時に伝わります。

性を前提としない関係やパートナーシップを考えるなら、友情結婚とは?意味と仕組みのような選択肢も知っておくと視野が広がります。恋愛はあるが性を重視しない結婚を望む場合は、セックスしたくないけど結婚したい人へも参考になります。

よくある質問

Q: フレイセクシャルは恋愛できますか?

できます。フレイセクシャルは「恋愛できない」のではなく、「親密になると性的な魅力が薄れる」指向です。恋愛感情や情愛は残るため、恋愛関係やパートナーシップを築いている人は多くいます。性的な関係の持ち方をパートナーと話し合うことが、関係を続けるうえでの鍵になります。

Q: フレイセクシャルとデミセクシャルは何が違いますか?

正反対です。デミセクシャルは深い絆を築いた相手にだけ性的に惹かれます。フレイセクシャルは逆に、絆が深まるほど性的な魅力を感じなくなります。どちらもアセクシュアル・スペクトラムに含まれる指向で、デミセクシャルとはで詳しく解説しています。

Q: ただの飽き性や倦怠期とどう見分けますか?

見分けの目安は「相手を変えても同じパターンが繰り返されるか」です。特定の相手や時期だけ性的魅力が薄れるなら倦怠期や関係の課題の可能性があります。誰と付き合っても親密になると必ず惹かれが消え、浅い関係の相手には惹かれるなら、フレイセクシャルの傾向が考えられます。本文の判断チャートも参考にしてください。

Q: フレイセクシャルは治りますか・変わりますか?

治すという前提が誤りです。フレイセクシャルは病気や障害ではなく、性的指向の一つです。「飽きっぽいだけ」「いつか変わる」と言われ続けてきたとしても、あなたの感覚はあなたのものです。無理に矯正する必要はありません。

Q: フレイセクシャルとセックスレスは同じですか?

違います。セックスレスは関係や体調などさまざまな要因で性行為が減っている「状態」を指す言葉です。フレイセクシャルは「親密になるほど性的に惹かれなくなる」という惹かれ方の「指向」です。状態か指向か、という軸で分けて考えると混同しにくくなります。

Q: フレイセクシャルの人はどのくらいいますか?

フレイセクシャル単独の統計はほとんどありません。電通グループが2023年に実施した調査では、アセクシャルに該当する人は1.56%と報告されています。フレイセクシャルはそのスペクトラム上のさらに細かな一点にあたります。少数派ではあっても、同じ感覚の人は確かに存在します。

自分の感覚を、言葉にすることから始める

親密になるほど性的に惹かれなくなる感覚は、愛情不足でも飽き性でもありません。あなたの惹かれ方が、社会が想定する「普通」と少し違う場所にある、というだけです。

淡白・飽きっぽいという他称を脱いで、自分の感覚に合う言葉を探すことが最初の一歩です。言葉を持つと、まわりの期待に流されず、自分のペースでパートナーとの関係を選べるようになります。「自分はダメな彼氏だ」という漠然とした不安も薄れていきます。

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