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【2026年最新】同性婚 日本の現状|最高裁判決の行方

5つの高裁が違憲判決を出し、2026年3月に最高裁大法廷へ回付された同性婚訴訟。日本でいま同性婚はどうなっているのか、パートナーシップ制度との違い、最高裁判決の見通し、世論と各党の立場、当事者がいま取れる4つの選択肢まで、2026年の最新動向で整理します。

Pace Magazine 編集部
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2026年3月25日、最高裁第三小法廷は同性婚をめぐる6件の訴訟をすべて大法廷に回付しました。日本初となる同性婚の憲法判断が、いよいよ最高裁で下されます。

5つの高裁で「違憲」、東京高裁の別の部だけが「合憲」と判断が割れた状態での大法廷回付です。判決は早ければ2026年度中、遅くとも2027年には下されます。

日本の同性婚は「法律上はまだ認められていないが、裁判所は違憲判断に傾いている」という微妙な状態にあります。いま読者であるあなたが知るべきは、法改正までに何年かかるのか、パートナーシップ制度で何が足りないのか、そして当事者として今すぐできる備えは何かです。

日本の法廷と裁判所のイメージ

2026年現在、日本の同性婚はこうなっている

結論を先にお伝えします。2026年4月時点で、日本では法律上の同性婚は認められていません。ただし状況は大きく動いています。

2026年4月時点の現状
  • 最高裁: 6件の訴訟を大法廷に回付済み(2026年3月25日)。判決は2026年度中〜2027年に言い渡される見通し
  • 高裁: 5件が「違憲」、1件(東京高裁第二次)が「合憲」と判断が割れた状態
  • パートナーシップ制度: 562自治体が導入、人口カバー率93.69%(Marriage For All Japan、2026年時点)
  • 世論: 賛成64%・不支持6%(26カ国中、日本は不支持率が最も低い水準)
  • 政治: 立憲民主党が婚姻平等法案を提出済み。自民・国民民主以外の主要政党は法制化に賛成

G7で国レベルの同性婚制度がないのは日本だけです。法改正は政治的にも世論的にも圧力がかかっている状態で、あとは最高裁の判断待ち、というのが2026年4月の全体像です。


同性婚訴訟の最新情報|2026年3月 最高裁大法廷へ回付

同性婚訴訟は2019年2月にスタートしました。「結婚の自由をすべての人に」訴訟と呼ばれ、札幌・東京・名古屋・大阪・福岡の5地域で6件(東京は2次訴訟あり)の裁判が並行して進みました。

5つの高裁で「違憲」判決が出た

2024年3月の札幌高裁判決を皮切りに、2025年までに6件の高裁判決が出そろいました。

高裁判決日判断主な根拠条項
札幌高裁2024年3月14日違憲憲法14条・24条・13条
東京高裁(1次)2024年10月30日違憲憲法14条・24条
福岡高裁2024年12月13日違憲憲法14条・24条・13条
名古屋高裁2025年3月7日違憲憲法14条・24条
大阪高裁2025年3月25日違憲憲法14条・24条
東京高裁(2次)2025年11月合憲

違憲とされた5件は、いずれも「同性カップルを婚姻制度から排除することは、法の下の平等を定めた憲法14条1項や、婚姻に関する立法の要請を定めた24条2項に違反する」という論理です。札幌・福岡の2件では憲法13条(個人の尊重)にも触れて、追加的な違憲性を認定しました。

合憲とした東京高裁(2次)は、「婚姻制度をどう設計するかは国会の裁量」という立場を取りました。

2026年3月25日、最高裁大法廷へ回付

2026年3月25日、最高裁第三小法廷は6件すべてを大法廷に回付しました。高裁段階で判断が分かれたため、最高裁が統一判断を示す必要があると判断された形です(時事通信 2026年3月25日報道)。

大法廷回付の意味は次の3点です。

  • 最高裁が憲法判断を正面から下す意向である(小法廷では回避できた判断を避けなかった)
  • 判決文に同性婚制度の有無について明示的に言及される可能性が高い
  • 違憲判決が出た場合、国会に立法を促す効果が強い

判決はいつ出るのか

大法廷では双方の弁論を経て判決が言い渡されます。通例、回付から判決まで1年前後かかるため、判決時期は2026年度中(2027年3月まで)から2027年前半が有力です。

ただし、違憲判決が出ても自動的に同性婚が法律婚になるわけではありません。違憲状態を解消するのは国会の役割なので、法改正まではさらに時間がかかります。


日本で同性婚が認められない理由と法的争点

争点になっている憲法条項

同性婚をめぐる憲法論争は、主に3つの条項に集中しています。

憲法14条1項(法の下の平等)

「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」

→ 性的指向によって婚姻制度から排除することは、合理的理由のない差別にあたるかが争点です。違憲とした5つの高裁は、いずれもこの条項に違反すると判断しました。

憲法24条2項(婚姻に関する立法)

「配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない」

→ 「両性」が男女を指すのか、広くパートナー同士を指すのかが論点です。違憲側は「個人の尊厳」を重視し、合憲側は文言解釈を重視しています。

憲法13条(個人の尊重・幸福追求権)

「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については…」

→ パートナーと家族になる権利が幸福追求権に含まれるかが争点です。札幌高裁と福岡高裁は、この条項でも違憲と判断しました。

国・政府の立場

政府側(被告は国)の主張は「婚姻制度の設計は国会の立法裁量の範囲内」という立場です。ただし、パートナーシップ制度や事実婚の扱いでは徐々に歩み寄りを見せています。

2025年9月30日、政府は新たに9つの法令で「同性パートナーが対象に含まれ得る」との解釈を示しました。これにより、事実婚に適用される法令のうち計33法令で同性パートナーが対象に含まれ得ることになりました(LGBT法連合会の声明)。

対象になった法令には、犯罪被害者給付金、労働者災害補償保険、公営住宅の入居要件などが含まれます。法律婚と同じではありませんが、事実婚レベルの保護は広がっています。

G7で同性婚がないのは日本だけ

G7各国の状況を比較すると、日本の遅れは明確です。

同性婚法制化年
カナダ認める2005年
アメリカ認める(全州)2015年
フランス認める2013年
イギリス認める2014年
ドイツ認める2017年
イタリアシビルユニオンのみ2016年
日本

イタリアは完全な同性婚ではありませんが、シビルユニオン(登録パートナーシップ)を国の制度として運用しており、日本の自治体パートナーシップ制度とは質が異なります。

世界地図で日本を示すイメージ


パートナーシップ制度では何が足りないのか

「パートナーシップ制度があるから同性婚は不要では?」という声もありますが、制度は同性婚の代替にはなっていません。

人口カバー率は93.69%まで拡大

2026年時点の数字は以下のとおりです(出典: Marriage For All Japan 自治体データベース)。

  • 導入自治体数: 562自治体(全1,788自治体中)
  • 人口カバー率: 93.69%(約1億1,700万人が居住)
  • 都道府県全域で導入: 33都道府県(一部導入を含めると47都道府県すべてで制度がある)

2015年11月に渋谷区と世田谷区が始めてから約10年で、ここまで広がりました。数だけ見れば「ほぼ全国」です。

結婚と比べて足りない主な権利

それでもパートナーシップ制度は法的効力がほぼない点が結婚と決定的に違います。具体例を挙げます。

項目法律婚パートナーシップ制度
相続権○(自動的に配偶者相続)✕ 遺言がないと1円も相続できない
配偶者控除✕ 税法上は他人
遺族年金✕ 受給不可
外国籍パートナーのビザ○ 配偶者ビザ✕ 配偶者ビザは出ない
共同親権✕ 子どもの親権は実親のみ
医療同意△ 病院の運用次第
引っ越し後の効力○ 全国一律✕ 転居先に制度がないと失効
法定離婚手続き✕ 慰謝料・財産分与は自動的に発生しない

特に相続・年金・ビザの3点は自治体ではどうにもならない領域です。ここを解決するには国会による法改正が必要で、それが同性婚法制化の議論の核心になります。

パートナーシップ制度を使うかどうか迷っている方は、パートナーシップ制度のメリット・デメリットで7つのメリット・5つのデメリットを整理しているので参考にしてください。

2025年9月の法令適用拡大で何が変わったか

2025年9月30日の政府発表により、33法令で同性パートナーが事実婚として扱われ得るようになりました。ただし、これは**「事実婚」扱い**であって、法律婚ではありません。


同性婚に対する世論と各党の立場

世論: 賛成64%・不支持6%

Ipsosの2024年グローバル調査によると、日本人の同性婚への態度は次のとおりです。

賛成側
  • 「賛成」+「どちらかというと賛成」の合計: 64%
  • 年代別では20代以下の賛成率が最も高く、60代以上が最も低い
不支持側
  • 「許可されるべきではない」と強く反対: 6%(調査対象26カ国中、日本が最も少ない)
  • 世界平均の反対派は約20%

日本は「強く反対する人が世界で最も少ない国」です。賛成派が多数派になっている状態で、法制化が実現していないのは、政治プロセスの遅れが主因と言えます。

各党の立場(参院選2025アンケート結果)

「結婚の自由をすべての人に」の参院選2025アンケートでは、各党の立場が明確になりました。

同性婚法制化に賛成今すぐ審議開始すべき
立憲民主党○ 法案提出済み
日本維新の会
公明党○(条件付き)
共産党
れいわ新選組
社民党
国民民主党△ 個人の信条による
自由民主党✕ 党としては慎重

立憲民主党は2025年6月に衆議院に「婚姻平等法案」を提出済みです。自民党以外の主要政党はいずれも賛成または容認の立場なので、政権交代または自民内部の方針転換があれば法制化は一気に進む可能性があります。


当事者がいま取れる選択肢

法改正を待つだけでなく、いま備えられることもあります。読者の状況別に整理します。

ケース1: パートナーと一緒に暮らしている場合

  • 公正証書遺言を作成する: 同性婚が認められる前にどちらかに何かあった場合、遺言なしではパートナーに1円も相続できません。公証役場で約2万〜3万円で作成できます
  • 任意後見契約を結ぶ: 医療の場面でパートナーが「家族」として扱われるには、事前の法的な備えが必要です
  • 生命保険の受取人指定: 保険金は遺留分の対象外になるため、親族とのトラブルを避けやすくなります
  • パートナーシップ制度の利用を検討する: 住んでいる自治体に制度があれば、公営住宅や病院面会で効きます

詳しい備え方は同性カップルの同棲準備ガイドでまとめています。

ケース2: パートナーシップ制度がない地域に住んでいる場合

制度がない地域に住んでいる場合でも、以下の選択肢があります。

  • 隣接する自治体への転居(ただし法的効力は限定的なので、あくまで補助的)
  • 公正証書遺言・任意後見契約など、制度に頼らない法的備えの優先
  • 勤務先の福利厚生制度(同性パートナーを配偶者扱いにする企業が増加中)を確認する

ケース3: カミングアウトしていない・家族の理解がない場合

同性婚法制化の動きが可視化されるほど、当事者が家族や職場にカミングアウトする機会が増えます。いきなり結婚を伝えるのではなく、段階を踏むのが現実的です。

カミングアウトの方法と注意点で、関係性別の伝え方を整理しています。

ケース4: 動向を追いかけ続けたい場合

最高裁判決が出るまでには時間があります。正確な情報源を押さえておくことが大事です。

信頼できる情報源

同性婚 日本の現状でよくある質問

Q: 同性婚は日本でいつ認められますか?

最短で2027〜2028年、遅くとも2030年前後と見られます。2026年3月に最高裁大法廷に回付されたため、判決は2026年度中〜2027年前半に言い渡される見通しです。違憲判決が出た場合、国会は法改正を迫られますが、法改正には1〜3年かかるのが通例です。合憲判決が出た場合は、政治プロセスが主戦場になり、さらに時間がかかる可能性があります。

Q: パートナーシップ制度と同性婚は何が違いますか?

最大の違いは法的効力です。パートナーシップ制度は自治体が発行する証明書で、公営住宅や病院面会など自治体が管轄する場面で効きますが、相続・税法上の配偶者・外国人配偶者ビザ・遺族年金などは対象外です。転居して自治体が変わると効力を失います。一方、法律婚は全国一律で、国が管轄する制度(税・年金・相続・国籍)すべてに効きます。詳しい比較はパートナーシップ制度のメリット・デメリットで整理しています。

Q: 最高裁で違憲判決が出たら自動的に結婚できるようになりますか?

いいえ、自動的には結婚できません。違憲判決は「現在の法律は憲法違反」と宣言するものであり、結婚を成立させる効力はありません。違憲状態を解消するのは国会の役割で、民法と戸籍法を改正する必要があります。過去の類似事例(婚外子の相続分差別、再婚禁止期間など)では、違憲判決から法改正まで1〜3年かかりました。同性婚もおそらく同程度の期間が必要です。

Q: 海外で結婚した同性カップルは日本でどう扱われますか?

日本の戸籍には反映されず、法律上は独身として扱われます。ただし、2013年から日本人と同性婚した外国籍パートナーに「特定活動」の在留資格が一部認められるようになりました。相続・税制上の扱いは法律婚と同等ではないため、公正証書遺言などの備えは別途必要です。外国籍パートナーの在留資格は入国管理局または専門の行政書士・弁護士に相談してください。

Q: 同性婚が認められるまでに親族として認められる方法はありますか?

主に3つの方法があります。①パートナーシップ制度の利用(自治体管轄の場面で効く)、②公正証書による遺言・任意後見契約(相続・医療で有効)、③養子縁組(法的な親子関係が成立し、相続権・扶養義務が発生)。ただし養子縁組は年齢差の制約があり、同性婚が法制化された場合に解消しないと婚姻できなくなる(民法734条)ため、長期的には慎重な検討が必要です。

Q: 同性婚 法制化の動きに当事者として何ができますか?

署名活動への参加、SNSでの情報シェア、訴訟支援団体への寄付、地元議員への意見書送付など、無理のない範囲でできる行動があります。Marriage For All Japanは裁判応援イベント・署名キャンペーンを定期的に開催しており、カミングアウト不要で参加できる形態もあります。何より、信頼できるアライを職場や友人関係に増やしていくこと自体が、社会の変化を後押しします。アライになる・なりたい人向けガイドもあわせて参考にしてください。


最新動向を追いかけるための3つのチェックポイント

最高裁判決までまだ時間があります。当事者としても関心がある人としても、以下の3つを定期的にチェックしておくと状況把握に困りません。

  1. 最高裁の審理状況: 弁論期日・判決期日は各裁判所の公式サイトと大手メディアで報道される。Marriage For All Japanがまとめて発信している
  2. 自治体パートナーシップ制度の動向: 自分の居住自治体が未導入の場合、導入の動きがないか市議会の議事録や地元紙を確認する
  3. 国会での法案提出・審議: 立憲民主党の婚姻平等法案の審議入りや、政党の立場変化は政治情勢の大きな指標になる

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