Xジェンダーとは?4つの分類と特徴をわかりやすく解説
Xジェンダーは男女どちらにも当てはまらない性自認を指す日本独自の言葉です。中性・両性・無性・不定性の4つの分類やノンバイナリーとの違い、電通調査による約170万人の割合データ、「自分もそうかも」と感じたときの考え方や日常の対処法を当事者目線で解説します。
電通「LGBTQ+調査2023」によると、Xジェンダー・ノンバイナリーに該当する人は全体の約1.38%。日本の人口に換算すると約170万人です。
「男性でも女性でもしっくりこない」と感じているのは、あなただけではありません。ここではXジェンダーの定義から日常の対処法まで、実用的な情報を整理します。
Xジェンダーとは — 日本生まれの性自認の言葉
Xジェンダーは、性自認が男性にも女性にも当てはまらないセクシュアリティを指します。1990年代後半、性別不合の自助グループの当事者の間で使われ始めた日本独自の言葉です。
ポイントは「性自認」に限定されていること。Xジェンダーは自分の性別をどう感じるかの話であり、誰に恋愛感情を持つか(性的指向)とは別の概念です。
Xジェンダーの4つの分類
Xジェンダーの感じ方は一人ひとり異なりますが、大きく4つのタイプに分類されることが多いです。
| 分類 | 性自認の特徴 | 感じ方の例 |
|---|---|---|
| 中性 | 男性と女性の中間 | 「男女どちらの要素も半分ずつある感覚」 |
| 両性 | 男性でもあり女性でもある | 「男性の自分も女性の自分も、どちらも本当の自分」 |
| 無性 | 男性でも女性でもない | 「性別という概念自体がしっくりこない」 |
| 不定性 | 時期や状況で揺れ動く | 「日によって男性寄りだったり女性寄りだったりする」 |
4つのどれにも当てはまらなくても問題ない
この分類はあくまで参考です。「中性と無性の間くらい」「両性だけど不定性の要素もある」と感じる人もいます。自分を無理にどれか1つに当てはめる必要はありません。
MtX・FtXとは
出生時に割り当てられた性別からの移行方向を示す表現もあります。
- MtX(Male to X): 出生時に男性と割り当てられたXジェンダーの人
- FtX(Female to X): 出生時に女性と割り当てられたXジェンダーの人
出生時の性別を重視しないXジェンダーの人も多く、この表現を好まない当事者もいます。
Xジェンダーと似ている言葉の違い
「ノンバイナリー」「クエスチョニング」「トランスジェンダー」との違いは、よく混同されるポイントです。
| 用語 | 意味 | Xジェンダーとの違い |
|---|---|---|
| ノンバイナリー | 性自認と性表現が男女の二択に収まらない(国際用語) | Xジェンダーは性自認のみ。ノンバイナリーは性表現も含む |
| クエスチョニング | 自分のセクシャリティを探究中・未確定 | Xジェンダーは「男女に当てはまらない」という自認。クエスチョニングは「まだわからない」状態 |
| トランスジェンダー | 出生時の性別と性自認が異なる | トランスジェンダーは男→女、女→男の移行を含む。Xジェンダーは男女どちらでもない |
Xジェンダーとノンバイナリーの関係
Xジェンダーは日本独自の言葉、ノンバイナリーは国際的に通じる言葉です。意味の重なりは大きいですが、厳密には異なります。
Xジェンダーは性自認(自分の性別をどう感じるか)に焦点を当てた概念です。一方、ノンバイナリーは性自認に加えて性表現(服装・振る舞い・外見をどう見せたいか)も含む、より広い概念です。
「自分はXジェンダーでもあり、ノンバイナリーでもある」と感じる人も少なくありません。どちらか一方を選ぶ必要はなく、自分にしっくりくる言葉を使えば大丈夫です。
「自分はXジェンダーかも」と感じたときの考え方
- 性別欄で「男」「女」のどちらを選んでも違和感がある
- 「男らしさ」「女らしさ」という言葉に強い抵抗を感じる
- 自分の性別を聞かれたときに困る、答えたくない
- 日によって自分の性別の感覚が変わる
- 男性グループにも女性グループにも完全には馴染めない
上記に複数当てはまる場合、Xジェンダーの可能性はあります。ただし、チェックリストで「確定」するものではありません。
あなたの状況別・考え方ガイド
| あなたの状況 | おすすめの考え方 |
|---|---|
| 10代で「自分の性別がわからない」 | 焦る必要はありません。成長とともに変わることも、変わらないこともあります。今は「探究中」で十分です |
| 社会人で「ずっと違和感があった」 | 長年の違和感に名前がつくことで楽になる人も多いです。セクシャリティ診断で自分の傾向を確認してみるのも一つの方法です |
| パートナーがいて「伝えるか迷っている」 | カミングアウトは義務ではありません。伝える場合は「自分がどう感じているか」を中心に話すと伝わりやすいです |
| 周囲にXジェンダーの人がいる | 本人が使う言葉と代名詞を尊重してください。「わかってあげよう」より「そのままのあなたでいい」という姿勢が大切です |
Xジェンダーの日常で感じる困りごとと対処法
書類の性別欄
日本の多くの書類では、性別欄が「男・女」の二択です。これはXジェンダーの人にとって大きなストレスになります。
- 任意記入の場合は空欄でも法的に問題ない
- 必須記入の場合は戸籍上の性別を記入する(法的義務)
- 企業の社内書類で性別欄の見直しを提案する選択肢もある
海外では米国(2022年〜)、カナダ、オーストラリアなどがパスポートの性別欄に「X」を選べる制度を導入しています。日本ではまだ実現していませんが、一般社団法人gid.jpなどが要望活動を続けています。
トイレ・更衣室
男女別のトイレや更衣室は、Xジェンダーの人にとって日常的なハードルです。
- 多機能トイレ(だれでもトイレ) を利用する方法が現実的です
- 職場では人事部門に相談し、個別対応を求められるケースが増えています
- 学校では保健室や個別更衣室の利用を相談できます
呼称・敬称
「○○くん」「○○さん」「○○ちゃん」——呼び方一つで居心地が変わります。
- 職場では「さん」付けの統一を提案するのが最もスムーズです
- 親しい人には「こう呼んでほしい」と伝えることで、関係が楽になることが多いです
- 英語圏では「they/them」のような性別を特定しない代名詞が広まっていますが、日本語では「あの人」「その方」が自然です
Xジェンダーと恋愛
性自認と恋愛対象は別の話です。Xジェンダーであることは、恋愛や結婚の妨げにはなりません。
Xジェンダーの恋愛対象は人それぞれです。男性に惹かれる人、女性に惹かれる人、性別を問わず惹かれる人、恋愛感情を持たない人——あらゆるパターンがあります。
パートナーに性自認を伝える場合のコツを紹介します。
- 「男でも女でもない」ではなく「自分をこう感じている」とポジティブに伝える
- Xジェンダーの4分類を使って具体的に説明すると伝わりやすい
- 相手のリアクションに時間を与える——すぐに理解してもらえなくても焦らない
恋愛やパートナーとの関係をもっと深く知りたい場合は、トランスジェンダーの恋愛ガイドや同性カップルの長続きのコツも参考になります。
よくある質問
Q: Xジェンダーは病気ですか?
いいえ、病気ではありません。WHO(世界保健機関)は2019年にICD-11で「性同一性障害」を精神疾患の分類から除外しました。Xジェンダーは性自認の一つであり、治療が必要な状態ではありません。
Q: Xジェンダーと思い込みの違いはどう判断しますか?
外部の基準で「本物かどうか」を判断する必要はありません。一時的な気分なのか持続的な感覚なのかは、時間をかけて自分で確認していくものです。「思い込みかもしれない」と不安になること自体、性自認に真剣に向き合っている証拠です。
Q: Xジェンダーの人はどのくらいいますか?
電通「LGBTQ+調査2023」によると、Xジェンダー・ノンバイナリーに該当する人は調査対象の約1.38%です。日本の人口に換算すると約170万人にあたります。
Q: Xジェンダーでも戸籍の性別は変えられますか?
現在の日本の法律では、戸籍上の性別変更は「性同一性障害」の診断を受けた上で家庭裁判所の審判が必要です。Xジェンダーとして「第三の性別」に変更する制度はまだありません。
Q: Xジェンダーだと伝えたら差別されませんか?
残念ながらリスクはゼロではありません。伝える相手やタイミングは自分で選んで構いません。カミングアウトは義務ではなく、あなたの安全が最優先です。困ったときはよりそいホットライン(0120-279-338)のセクシュアルマイノリティ専門ライン(ガイダンスで4番)に相談できます。
Q: Xジェンダーの子どもにどう接すればいいですか?
「男の子なんだから」「女の子らしく」という言葉を避け、本人の感じ方を否定しないことが最も大切です。「あなたはどう感じている?」と聞く姿勢を持ってください。
Q: 海外ではXジェンダーは通じますか?
Xジェンダーは日本独自の言葉なので、そのままでは通じません。海外では「non-binary」「genderqueer」が近い概念です。英語で説明する場合は「I identify as non-binary」と伝えるのが一般的です。
自分の性自認を探究するために今できること
Xジェンダーは「男でも女でもない」という消極的な定義ではありません。男女の枠に収まらない自分らしさを肯定する言葉です。


